政府の国家戦略会議(議長・野田佳彦首相)の下部組織として中長期的な国家ビジョンを検討している「フロンティア分科会」がこのほど、集団的自衛権について「保有しているが行使できない」としてきた政府の憲法解釈の見直を求める報告書を首相に対し提出した。
分科会は2月に始まり、「2050年の日本のあるべき姿」を提示。2025年までに取り組む政策として集団的自衛権の容認や日本版国家安全保障会議の設立、国連平和維持活動(PKO)5原則にある自衛隊の武器使用基準の見直しなどを提言した。
そもそも日本が国際連合に加盟した時点で、国連憲章を容認し、日米安保条約でも国連憲章の優位性をうたっている以上、集団的自衛権を「保有しているが行使できない」としている政府の憲法解釈は意味をなさないはずだ。もし日本が集団的自衛権を認めないのであれば、未だにスイスやバチカンのように国際連合に加盟すらできなかったと言える。
今回の分科会の提言は正しい方向性ではあるが、なぜ「2025年までに取り組む政策」なのか。2020年ごろには中国は宇宙軍事基地となる宇宙ステーションを完成させ、空母艦隊も数セット完成していると予想される。2025年までの政策課題として挙げること自体、何か裏の意図があると勘ぐられても仕方ないのではないだろうか。
集団的自衛権の容認は、いますぐ首相が国会答弁などで表明すれば終わる問題だ。「今すぐ取り組む課題」として位置づけなければ意味がない。(弥)
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