昨年2月にムバラク政権が崩壊してから初めてとなるエジプト大統領選が行われ、選挙管理委員会は24日、決選投票の結果、モルシ氏が当選したと発表した。

ムハンマド・モルシ氏は、穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の擁立した自由公正党の党首。今回の選挙で元首相のアフマド・シャフィク氏を破って、1952年の軍事クーデター以来初となるイスラム系大統領となる。

いわゆる民主化運動「アラブの春」で独裁政権が倒れた4カ国で初めてイスラム主義勢力の本格政権が誕生することになる。

モルシ氏は、外交政策について、対米依存を改めるとしており、アメリカやイスラエルとの関係の見直しが図られる見通しだ。

イスラム圏では、一昨年から昨年にかけて、チュニジア、エジプト、リビア、イエメンと次々と独裁政権が倒された。この民主化の動き自体は歓迎すべきだが、一方で、多くの国が親米政権だったことから、新たな国際関係の緊張を生む可能性もある。

中東においてイスラエルを認める政権が少なくなれば、パワーバランスが崩れて、戦争のきっかけになる可能性もある。

ムスリム同胞団は、これまでイスラエルによるパレスチナ占領政策を強く批判してきたが、エジプトはイスラエルの後ろ盾となっているアメリカから年間十数億ドルの軍事・経済援助を受けている。この微妙な関係を、どのように舵取りしていくかが、今後の注目ポイントとなる。(村)

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2011年12月22日付本欄 中東におけるイスラム主義復興の背景

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3542