2012年8月号記事

リバティWeb シネマレビュー

「スープ ─生まれ変わりの物語─」

人は誰でも想いを込めて生まれ変わる

【スタッフ】
監督:大塚祐吉
【キャスト】
出演:生瀬勝久 小西真奈美 松方弘樹ほか
【配給等】
配給:東京テアトル
【公開日】
2012年7月7日(土)より有楽町スバル座他にて全国ロードショー

【レビュー】

もしあなたが、伝えきれなかった愛情や解きたい誤解を残して突然死んだら? 現世に生まれ変わって相手に想いを伝えたくなっても不思議はない。そんな想いと「生まれ変わり」を正面からテーマにした、笑って泣けるファンタジーだ。
中年男の健一(生瀬)は2年前に妻と離婚し、中3の一人娘ともギクシャクする日々で仕事にも疲れていたが、娘をきつく叱った翌日、上司(小西)もろとも落雷で死んでしまう。二人が行ったあの世では、ある特別なスープを飲めばすぐにこの世に生まれることができるものの、前世の記憶は失われる。健一は娘についての記憶を保ったまま生まれ変わろうと、一か八かの行動に出る。
ストーリーは、中国奥地に実在し、住人の多くが前世を記憶しているという、「生まれ変わりの村」についてのノンフィクション本に基づいている。幸福の科学が明かしている転生輪廻のシステムとは異なる点もあるが、生まれ変わりを上手に描いたドラマがこれほど人の心を震わせること自体、生まれ変わりが未開人の空想などでなく実際に存在することの間接的証明だろう。
メインのキャストに加え、生まれ変わって高校生に成長した健一やクラスメイトを演じる若手役者たちも魅力的。ネタバレは避けるが、父親が一目でいいから見たいと願う娘の姿と言えば、やはりアレしかない。特にお父さん世代は、涙腺がゆるむ覚悟でご鑑賞を。

ザ・リバティWeb シネマレビュー

「スープ ─生まれ変わりの物語─」

(星4.5。満点は 5つ)