藤村修官房長官が6月21日の記者会見で、20日に成立した原子力規制法の中で原子力利用の「安全確保」の目的の中に「我が国の安全保障に資すること」という文言が入ったことについて、「(原子力の)軍事転用などという考えは政府として一切持っていない」という趣旨のことを述べ、将来、日本が核武装するのではないかという考えを否定した。
官房長官の発言は、民主党政権としては当然の内容だろう。ただ、言葉に、もう一ひねりしていくことが重要ではないか。
例えば、「中国や北朝鮮の核兵器は日本の安全保障上の懸念材料だ。日本政府としては原子力の軍事転用の考えは現時点では持っていないが、日本は民主主義の国なので、日本国民が今後も核武装を望まなくてすむように、中国や北朝鮮には核廃絶への努力を促したい」とでも言えばよかった。
ちなみに、これまで政府は核保有について合憲という見解をとっており、岸信介首相、安倍晋三官房副長官、福田康夫官房長官(いずれも当時の肩書)らが国会答弁や記者会見などで述べている。
14日には宇宙航空研究開発機関(JAXA)の活動を「平和目的に限る」という規定を削除するJAXA法改正案が衆院で可決された。軍拡を続ける中国は宇宙にも盛んに進出しているが、我が国も安全保障目的の宇宙開発ができる条件が整ってきたのだ。
軍事目的の宇宙開発には反発もあるかもしれない。だが、宇宙には地球を脅かす危険がある。未来の宇宙戦艦同士の戦いを描く人気小説『スターシップ・オペレーターズ』の作者・水野良氏は、第4巻のあとがきで、こう述べている。「宇宙などにお金をかける必要などないという指摘もありますが、(略)直径二キロの隕石が落下したら、人類は絶滅するとの研究もあります。また、宇宙開発から新しい技術や産業が生まれてくる可能性だってあります」
日本が隕石を迎撃する宇宙兵器を開発するなら、人類にとっても福音である。隕石を迎撃できるぐらいの兵器があれば、もし、日本を侵略する国があっても防衛できるだろう。(賀)
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