野田佳彦首相は4日、国土交通相や防衛相など5閣僚を交代する内閣改造を行った。防衛相に民間から初めて森本敏・拓殖大大学院教授を起用する異例の人事。鹿野道彦・前農水相の交代は在日中国大使館一等書記官への機密情報漏洩疑惑での事実上の引責辞任で、民主党の人材不足と、野田政権が末期状態にあることを浮き彫りにした。

内閣改造は、消費税増税法案について自民党と修正協議に入るための準備だが、野田首相が法案の成立と引き換えに衆院を解散し総選挙を実施する「話し合い解散」が大きな焦点だ。6月21日までが会期の通常国会を8月ごろまで延長し、民主・自民両党などの賛成で法案を成立させることができれば、9月ごろの総選挙となる。

ただ、両党内にこの夏の選挙を避けたい議員が多いことから、解散を条件としないで修正合意する可能性もある。この場合、野田政権は延命でき、野田首相にとって最も都合のいいシナリオだ。

小沢一郎元代表らのグループは、選挙基盤が弱く次期衆院選で落選しそうな議員が多いため早期の総選挙には慎重で、消費税増税法案を潰し、9月の代表選で野田首相を辞めさせることを最優先としている。ただ、それも自民党との修正協議次第。協議が不調に終われば、野田首相が居座り続けることは難しい。小沢氏の戦略は自民党頼みと言える。

その場合、ポスト野田として、細野豪志・原発事故担当相が浮上しており、民主党内の"世論"も次期衆院選をにらめば、「イケメン宰相」を担ぎたいという力学が働く。

結局のところ、(1)民主・自民両党が修正合意し、夏から秋にかけての話し合い解散か、(2)両党が合意できず野田首相が退陣し、民主党4人目の首相による新政権が誕生するか、どちらかということになる。

野田首相にとっては、衆院解散か総辞職かの選択しかない。(織)

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