アメリカ政府が4月30日、北朝鮮が早ければ今週中にも核実験を行う可能性があるという見方を韓国政府に伝えたことを、5月1日付各紙が報じている。

記事によると、アメリカ側の判断は4月26、27日にワシントンで開かれた米韓国防当局間の会合で示された。米韓当局は、今回の実験は2006年と09年のプルトニウム型爆弾の実験とは異なり、高濃縮ウラン型爆弾の実験になると見ており、韓国国防省は時期について、技術的準備は整ったとの見方を示している。

北朝鮮の過去2回の核実験を振り返ると、ミサイル発射実験からそれぞれ2ヵ月後、6週間後に実施。今年4月のミサイル発射は失敗に終わったが、その後、韓国の李明博政権を打倒する大規模な集会を開くなどして外に敵を作り、国内の団結を強めようとしている。金正恩体制を維持するためにも、北朝鮮にとって核実験は「必須」ということらしい。

だが、国際エコノミストの長谷川慶太郎氏は、この北の核実験が中国崩壊につながる可能性について、次のように指摘する。

「(北が3度目の核実験を行えば)中国政府は09年同様、国際社会とともに制裁しなければいけません。しかし、その決定をした途端に、(中国人民解放軍の)瀋陽軍区が反乱を起こす恐れがある。瀋陽軍区こそが北朝鮮にミサイルや核の開発をさせている張本人で、北を使って中央政府に圧力をかけているからです。(中略)他の軍区も立ち上がって、すべての軍区が事実上の独立国のようになり、中国は分裂するでしょう」

この指摘が現実化するか否かは分からないが、今年2月、重慶市の王立軍・副市長が米国総領事館に駆け込み、その後、身柄を拘束されて北京に移されるとき、上司にあたる重慶市トップの薄熙来氏(当時)が地元に駐留する解放軍を動かし、クーデターを計画していたということが、一部で報じられている。

いずれにしても、北朝鮮並びに中国の独裁体制は、ともに不安定な政権運営を強いられているということだ。西側諸国を中心とした国際社会は今後、両国が一時期、混乱に陥ることを視野に入れつつ、緊密に連携していくことが求められる。(居)

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