海外展開を進める百貨店や大手小売企業と、原宿などの小さな専門店の出会いを経済産業省が斡旋し、海外へ「銀座」や「原宿」の街を"輸出"する取り組みを始めた。24日付読売新聞夕刊が報じている。
日本の若者文化は、アニメやマンガ、雑誌などを通じて、海外で関心が高まっている。しかし、小さな専門店は雑誌などで紹介されて人気が出ても、単独で海外展開をするには資金などの壁が高い。そのため、経済産業省が百貨店などと専門店の出会いの仲介を4月から始める。
中国、インド、東南アジアなど進出先の商業施設で「シブヤ」「ハラジュク」など日本の街にちなんだ名前をつけ、できるだけ本物の街に近い品揃えをめざすという。街の名前をつけることで「本場」の日本への観光客の増加も期待している。
ファッションだけでなく、アニメやマンガなどのキャラクター商品、飲食関連なども対象になる。
今回の取組みは、政府が進める「クール・ジャパン(かっこいい日本)戦略」の一環だという。
経済産業省の平成24年1月発表の「クール・ジャパン戦略」の資料を少し紹介すると、
- 中国では日本発のファッション雑誌が大人気。全米で日本食と称するレストランは約9000店、10年間で2.5倍になっている。ポケモン関連商品の発売以来の売上は全世界で約3兆円になる。
- 2011年6月に開催されたパリの「JAPAN EXPO」(マンガ及び伝統文化、今の日本文化を扱ったもの)は4日間で20万人の来場者を記録するなど、欧米やアジアで日本のソフト産業の人気は高い。
- 2020年に8~11兆円の市場を目指す。
韓国も、1997年から「クール・コリア戦略」でアジア市場を開拓、日本でも「韓流ブーム」が起きた。日本文化は世界に誇れるものがいっぱいあるが、戦略的な取り組みはほとんどなかった。官民あげてのこの取り組みに期待したい。(居)
【関連記事】
2010年7月号記事 私ならこうする!日本復活への大戦略