橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が注目を浴びているが、大阪市での公教育改革にも見るべきものがある。

橋下氏の掲げる公教育改革の中心的理念は、競争原理と実力主義である。

彼は、市民から選ばれたという自負を根拠に、教育現場に成績公開を迫り、実力に基づいた勤務評定による昇格や昇給制の導入を求め、そして、「自治体が教育委員会の設置を選択できる制度の導入」を企図している。

いずれも、強力なトップダウン型の改革である。強力なリーダーシップで教育改革を実施できれば、それはそれで全国のモデルとなる可能性がある。

だが、さらに劇的に公教育を変えるのが「自由化」と実質的な「民営化」だろう。

私の娘はスイミングスクールに通っているが、最近泳ぐのが遅くなってきたという。なぜなのか? と聞くと、「速い子がいっぱい入ってきたから、そう感じる」ということらしい。家内にたずねると、「最近入ったコーチがオリンピック選手を育てたという噂を聞きつけて、他のスクールを辞めて続々と子供たちが転入してきている」というのだ。

教育改革の真の成功策も、実はここにあるはずだ。

すなわち、「一定の基準を満たしさえすれば、自由に学校を設立でき、生徒にあっても学校側の選抜に受かりさえすれば好きな学校へ自由に通える」という状態を生み出せば、教育の質は飛躍的に向上する。

義務教育に名を借りた縛りを解き、塾を学校として認め、学区制や様々な制約を取っ払い、民間の知恵を採り入れて学校経営をする。そのような「公立学校の実質民営化」を、かねてよりリバティ誌は提言してきた。

この自由の感覚に親和性を持ち、慣れ親しんでいるのが、実は大阪人に代表される関西の人たちだと思う。私も大阪人の一人として、大阪から「教育の新しい自由の風」を吹かせたいものだ。(寺)

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2011年6月号記事 日本の教育経営再建プラン(後編)

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1917