東日本大震災時、世界各国が義援金や救援物資を寄せてくれた中で、約200億円という最も多い義援金を寄せてくれたのは台湾だった。その台湾のテレビ局やユーチューブなどで、日本の対台湾窓口機関である交流協会がスポンサーとなって、被災者が復興を語る感謝CM「我很元気 台湾、謝謝你」(元気です。ありがとう台湾)が3月17日まで流されている。
各国から寄せられた義援金について、日本政府は米、英、仏、中、露、韓の主要紙等とインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの計7紙には感謝の広告を掲載した。しかし、広告予算の不足を理由に、台湾、インドをはじめ134カ国に対するそれを掲載しなかった。
この政府の対応に疑問を感じ、いたたまれなくなった日本人有志がツイッターやネット上で寄付金を募り、独自に台湾の2紙に広告を掲載する動きがあった。
また、台湾への観光旅行という形でも、日本人は同国への感謝を表しているようだ。台湾観光局によると、2011年末の日本人観光客が前年同期より23.7%増えたという。増加の理由としては、台北・松山空港と羽田空港を結ぶ路線が開通して交通の便がよくなったこともあるだろうが、やはり同国の支援に対する感謝の思いから訪問する日本人が増えたということだろう。
義援金に対する日本政府の対応については、昨年4月の時点で、台湾外交部に対して、当時の菅直人首相と交流協会の今井正代表から感謝状が届いたことが報道されている。しかし、台湾の人々に不信感を抱かせかねない、礼を欠いた対応であったと言わざるを得ない。
有志による台湾紙への広告掲載、そして今回の感謝CMで、わが国の感謝の思いが真に台湾の人々へ伝わったのなら、ホっと胸をなでおろしたい気分だ。それとともに、政府の対応が必ずしも国民の意思を反映しているとは限らないことも理解していただきたい。(清)
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2011年4月3日付本欄 台湾の義援金、米国を上回る