民主党の広野允士参院議員が9日、消費税増税に反対して党広報委員長を辞任した。広野氏は小沢一郎氏のグループに所属、小沢グループを中心に増税反対の「のろし」をあげた。10日付各紙が報じている。

野田佳彦首相は、これまで自民、公明など野党と連携して消費税増税関連法案を策定しようとしていたが、自公は協議に応じようとしないため、9日、民主党単独で法案を策定し、対野党で正面突破を図ることを決めた。

その矢先に、党内から反旗が翻った。広野氏は党が月内に始める消費税増税の全国キャンペーンを中心的に担う予定だったが、この日に辞表を提出した。

広野氏の所属する小沢氏グループの会合には参加者が101人に達し、「反増税」の圧力をかけようと気勢を上げた。

野田首相に追い討ちをかけるように、10日付産経新聞に「消費税増税に大義も効果もなし」という竹中平蔵・慶応大学教授の「正論」が載った。

竹中氏は、「政府・与党の増税案は、財政再建も社会保障の充実もない、大義なきあしき増税である」と断じている。

そして「何よりも、金融政策を変えてデフレを克服することだ」「名目成長率を通常の3~4%に戻せば、5年後の税収は10兆円規模で増え、消費税増税は不要になる」と、デフレ克服と経済成長を優先せよと述べている。

野田首相が「次世代へのツケを避ける」と言っていることに対しても、「高消費税率こそ、次世代への負担になる。真のツケ回し回避策は、増税しなくてもやっていける社会をつくり次世代に引き継ぐことだ」と主張する。

振り返れば、小泉・竹中コンビによる構造改革路線によって、日本経済は緩やかながら回復基調を続けていた。

ところが、左翼マスコミを中心に「小泉改革によって格差社会になってしまった」と大合唱が沸き起こり、それが自民党政権を倒し民主党政権を誕生させる原動力となった。

「格差社会」を叫ぶこと自体が、日本を社会主義国にしようとする策謀だったと言える。努力する者が成功し、成功者と失敗者が出るのは資本主義社会の当然の姿だ。これを否定したら誰も努力しなくなり、国家の奴隷となるしかない。

今、日本は左翼勢力によって「国家社会主義」が完成してしまうかどうかの崖っぷちにある。「社会保障のために増税やむなし」という一見正当に見える主張が実は「地獄への道」であり「国家滅亡への道」であることを、われわれ国民は直視しなければならない。(仁)

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2012年2月号記事 サッチャー革命、小泉改革未だ成らず

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