2006年10月
経済
M&A新時代の行方
日本初の本格的な敵対的TOB
製紙業界トップの王子製紙が仕掛けた、日本で初めての本格的な敵対的TOB(株式の公開買い付け)が波紋を呼んでいる。
仕掛けられた側の北越製紙は業界5位で、売上規模は王子製紙の約8分の1に過ぎない。しかし、主力の新潟工場には国内最高の効率の良さを誇る設備が導入され、生産の効率化と規模拡大を図る王子製紙にとって、統合のメリットは計り知れないものがある。
ところが、8月3日には業界2位の日本製紙が王子製紙のTOBを阻止すべく、北越製紙株を大量取得したと発表。実際に8・85%まで株式を買い進め、北越製紙と提携することに。
その結果、北越製紙を巡って業界の2強が敵対するという異例の事態となった。
一方、北越製紙は、あくまでも「自主経営」を目指す構えだ。そこで、7日には三菱商事を引き受け先とする第三者割当増資を実施、三菱商事が議決権ベースで24・4%の株式を保有する筆頭株主となった。日本製紙の分と合わせると、株式の約33%がTOBに応じない形となり、王子製紙の目指す「50%超え」はかなり困難な状況だ(8月15日現在)。