ついにアメリカがインフレ目標を導入した。

各メディアの報道によると、米連邦準備理事会(FRB)は25日、年2%の物価上昇率を金融政策の目標とし、事実上のインフレ目標政策を導入した。

あわせて「13年半ば」までとしていた事実上のゼロ金利政策も、14年終盤まで継続することを決定した。

欧州の債務危機が米国に波及する可能性があることと、失業率が8.5%で高止まりしていることなどを踏まえて、もう一段の金融緩和に踏み切った形だ。

FRBのバーナンキ議長は、インフレ目標導入について、「2%の目標を明確にすることで、物価の安定化や適度な長期金利を促すことができる」と説明している。

インフレ目標は、1990年にニュージーランドが採用して以来、カナダ、イギリス、韓国など20カ国以上で採用されており、一定の物価上昇率を目標に定めて、その実現のために通貨の供給量の調節などを行う。

日本でも長期にわたるデフレが続いていることから、インフレ目標の導入が盛んに議論されているが、今のところ、日本銀行が導入に踏み切る気配はない。

日本もアメリカに続いて、導入の検討が必要だろう。

ただ、現状におけるインフレ目標の導入は、一層の金融緩和を行うことを意味するが、その場合、「使い道をどうするか」も問われる。ただお札を刷っただけでは、健全な経済成長につながるとは限らないからだ。

オバマ大統領は、24日の一般教書演説で、雇用と住宅に力を入れることを明らかにしている。その中身は、国内の雇用を増やした企業には減税をし、減らした企業には増税するという差別化政策と、住宅ローンの借り換え支援だ。

不況対策や税収減対策も大事だが、民間経済を活性化させるための、もう一段力強い未来ビジョンが必要だろう。大胆な使い道を構想してこそ、金融緩和も生きてくるからだ。

だとしても、今回アメリカがインフレ目標を導入したことは、景気回復と経済成長に向けた同国の強い意志を感じる。

どれだけ深刻なデフレに陥っても、インフレ目標を導入しない日銀は、なぜか経済成長そのものを否定しているように見える。米FRBの精神を見習うべきだろう。(村)

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http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7016.html