防衛省は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を沖縄県宛てに発送した。だが、27日、沖縄県庁前で待ち構えていた移設に反対する市民団体のメンバーら約300人が、評価書を運んできた運送業者のトラックを取り囲み、県庁内に運び込むことを阻止した。
防衛省は当初、同省の職員が沖縄県庁に1部7千ページの評価書20部を持参することを予定していたが、反対派の人々との間で混乱が起きることを恐れ、送付することにした。だが、県庁周辺では、26日朝から反対派のメンバーらが抗議活動を続け、評価書の受取窓口となる環境生活部のある県庁4階のエレベーター前や廊下には、提出を警戒する人々が午後5時すぎまで座り込みを行った(27日付朝日新聞)。
実際に、評価書が運ばれてきた27日午前11時すぎ、評価書が入った段ボール箱10個を乗せたトラックが県庁に到着したが、メンバーが取り囲んだため、県庁職員が運送業者に対して、「メンバーの抵抗が強いので県庁内に入れることは困難」と、防衛省に持ち帰るよう求めた(琉球新報電子版)。
また、仲井真弘多・沖縄県知事は同日の記者会見で、政府が辺野古の埋め立てを申請した場合の対応について、「県外移設が選挙の公約で、辺野古(移設)は事実上不可能」と述べ、現状では、政府の埋め立て申請を承認しない可能性に言及した。
一連の混乱は、民主党政権が生み出したもので、同党が掲げる「地域主権」を突き詰めていけば、外交や国防など国が決めるべき重要案件が、ことごとく地方の反対によってつぶされていくことがよく分かる事例だ。民主党政権は、「地域主権」がいかに危険な考え方であるかを知り、一日も早く撤回すべきである。(格)
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2011年3月号本誌記事 「新しい公共」を阻止しない日本の危機(上)
「地域主権」は、市町村(地域)の共産コミューン(主権ある準・独立国家)化の手段
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1271
2011年4月22日本欄 静かに進む「地域主権」