「H2Aロケット」20号機が12日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、政府の情報収集衛星3号機が予定通り切り離され、打ち上げが成功した。

この情報収集衛星は事実上の偵察衛星で、夜間や悪天候でも電波を使って地上の様子を撮影できるレーダー衛星。地上の1メートルの大きさを識別できるという。98年の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて導入を進めていた。

H2Aロケットの打ち上げは03年の6号機を除き、過去20回のうち19回が成功。「ロケット打ち上げビジネス」の信頼性の目安となる95%を達成した。

日本の初の純国産ロケット「H2ロケット」は94年2月に打ち上げ成功。以来、このH2シリーズの開発を続け、世界最高水準の低コスト化を実現している。H2Aロケットは直径4メートル、高さ53メートルで、17階建てビルに相当。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱重工業は、さらに大型の「H2Bロケット」の運用も始めている。直径がH2Aロケットの1.3倍で、重さが2倍弱もある。この巨大ロケットは2011年1月、無人補給船「HTV」2号機を搭載して打ち上げられ、米欧日露加など11カ国が建設を進める国際宇宙ステーションに物資を輸送。2011年7月に米スペースシャトルが退役した後、ISSへの大型物資の輸送を担っているのはHTVだけだ。

加えてJAXAと三菱重工業は次世代ロケット「H3」の開発も検討。さらに大型のロケットで、ISSに有人船を運ぶことを目指している。

中国は2003年にすでに有人宇宙飛行を達成し、2020年前後に独自の有人宇宙ステーション建設を目指している。この宇宙ステーションは宇宙軍事基地につながるものだ。

日本の有人宇宙飛行は遅れており、当面の目標は2020年に単独で行うというもの。ただ、コストや信頼性の面で日本の技術に一日の長がある。

アメリカの宇宙開発が後退する中、国防上の観点からも日本は着々と実力を蓄え、「宇宙開発大国」を実現していく必要がある。(織)

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