8日、東京都内で開かれたシンポジウムに、米国の保守系シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の関係者や元米政府高官らが出席。「日本の脱原発は世界をより危険にする」などと発言し、民主党政権が進める脱原発の動きに警鐘を鳴らした。

シンポジウムは日経新聞とCSISの共催。9日付同紙にその模様が報じられた。

ジョン・ハムレCSIS所長は、「中国やインドなど合わせて、世界で今後30年で300基の原発新設が計画されている。むしろ日本が原発を放棄することは世界をより危険にする。核拡散防止条約(NPT)体制で(中印など)責任感の弱い国に主導権を奪われるからだ。日本は安全な原発建設で世界をリードしなければならない」と発言。

ウィリアム・ペリー元国防長官も「日米は原子力分野で前面に立ち、安全な運転手順、規制をつくるべきだ」と述べ、北朝鮮やイラン、パキスタンなどの動きを念頭に、「民生用原子力開発を隠れみのにした核兵器開発に留意すべきだ」と指摘した。

米国側の出席者の主張には、日本の政治家やマスコミの論調には見られない「国際的な視野」が感じられ、改めて、日本人が持つ「一国平和主義」という視野の狭さを痛感する。

もう一点触れておきたいのは、リチャード・アーミテージ元国務副長官の「日本の核武装は地域情勢を不安定にする」という発言。米国の要人がそう語るのは当然だろうが、それはそれとして、日本人はこの問題について真剣に考える必要がある。

原子力発電所の役割は電力供給であることは間違いないが、それ以外にも、「いつでも核兵器の開発に着手できますよ」と、侵略国家に対する牽制の役割をも担っている。どの家庭にも調理用の包丁はあるだろうが、強盗が押し入ってきたときに、その包丁を護身用に使うのと同じ考え方だ。

民主党政権や左翼勢力が原発を毛嫌いする理由に、核兵器を連想させるという点もあるだろうが、その危惧は大きく間違ってはいない。だが、左翼陣営が何と言おうが、日本は国防という観点からも原発を完全に手放してはならない。「日本の脱原発は『日本』を危険にする」のである。(格)

【参考書籍】

『もしドラッカーが日本の総理ならどうするか?

公開霊言 マネジメントの父による国家再生プラン』、大川隆法著、幸福の科学出版刊

Chapter3-2「抑止力としての核兵器」は必要

http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H8000.html

『公開対談 日本の未来はここにあり 正論を貫く幸福実現党』大川隆法著、幸福の科学出版刊 第1章-3「脱原発」は国家転落への道

http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7011.html