やはり欧州危機は、政治危機によって深刻化することになった。

ユーロ圏は10月26、27日に開かれた首脳会議で、ギリシャの支援策を決定し、債務危機を封じ込めたはずだった。

しかし、肝心のギリシャが、その支援策を受け入れるかどうかを国民投票によって決めると発表したため、欧州経済安定への失望感が一気に広がった。

このギリシャの発表を受けて、ドイツとフランスの首脳が2日に緊急会談を行い、対応を協議することになっている。

2日付読売新聞によれば、ギリシャのパパンドレウ首相は4日、議会で内閣信任投票を行い、来年1月頃、国民投票に臨むと見られるという。

ということは、その間、市場の不安は解消されないことになる。しかも国民の約6割が支援策受け入れに反対とも言われる。

せっかくのギリシャ支援のための包括策は白紙に戻る可能性が出てきた。

世界の株式市場も、こうした決定を受けて全面安となっている。

ユーロの秩序を守るために、ギリシャ一国にユーロ圏全体が振り回されている図式だが、客観的に見て、ややドタバタ劇風の滑稽な状況になりつつある。

このギリシャを巡る悲喜劇は、物事は計算どおりにはいかないという教訓を我々に与えている。人は必ずしも合理的に行動しない。愚かな選択を繰り返して混乱を拡大させる。

従って、なぜギリシャは支援策をすんなり受け入れないかを問うても、無駄だろう。そこに政治のリスクと難しさがある。そして、このリスクと向き合う仕組みがないことこそ、ユーロ圏、EUが抱える構造的問題の本質だ。(村)