岩手県が、東日本大震災の被災地の堤防をさらに高くする動きを進めている。
19日付朝日新聞夕刊によると、岩手県宮古市田老地区の巨大防潮堤は、総延長約2.4キロで「万里の長城」と言われていた。しかし、高さはたった10メートル。同地区を襲った震災の津波の高さは16.3メートルで、海側の防潮堤は壊れ、陸側の防潮堤も波に乗り越えられ、家という家が流された。県は同地区の防潮堤を、これまでの10メートルからさらに4.7高くして、14.7メートルとする方針という。
また、同日付日経新聞によると、岩手県は、被災した陸前高田市沿岸の堤防の高さを震災前の5.5メートルから、さらに7メートル高くして、12.5メートルに引き上げる整備案を市に示しているという。住民のなかには、「まちのシンボルの松林が隠れてしまう」などの声もあるが、県の計画を上回る15メートルの堤防整備を求めてきた陸前高田市は「景観や観光も大事だが、まず優先すべきは人命」という立場だ。
幸福の科学グループの大川総裁は、震災直後の3月15日の時点で、すでに震災対策として「20メートル以上の高さの堤防」を提言している。景観の問題についても、高速道路のように堤防の内側の道路の位置を高くしたり、堤防の上に透明な水族館のアクリルガラスのようなものを張りめぐらせたり、非常時のときだけせり上がる堤防などをつくれば解消すると述べている。(参考『震災復興への道』)
せり上がる堤防については、モーターなどの動力を使わず、津波の水の力で自動的に壁が起き上がるものがすでに開発されている。震災直後の4月に筆者が訪れた岩手県普代村は、15メートルの水門と防潮堤のおかげで死者がゼロだった。堤防を高くする同県の取り組みは歓迎すべきだ。(格)
【参考記事】
2011年6月号記事 コンクリートは人を守る ~岩手・宮城被災地レポート~
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1872
2011年8月10日付本欄 自動的にせり上がる防波堤を日立造船が開発
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2591
幸福の科学出版ホームページ 『震災復興への道』(大川隆法著)