放射能をめぐって、不可解な「事件」が相次いでいる。

東京都世田谷区の区道で毎時3.35マイクロシーベルトの放射線量が検出された問題は、民家の床下にあるビンからの放射線が「犯人」だと判明した。

ビンの中には、粉末状の放射性物質ラジウムが入っていた。民家には今年2月まで高齢の女性が一人で暮らしていたが、今は無人。家族も民家の所有者もビンやラジウムの存在は知らないのだという。

区の担当者は「置かれてから相当長い年月が経っている可能性がある」と述べているが、真相は闇の中。福島第一原発から出た放射線の影響だと当初報道されたことから、「意図的に放射性物質を民家に置いて、騒動を起こしたのではないか」との見方も出ている。

というのも、全国的に反原発を主張するグループが、福島産の農産物ばかりか、工業製品、移動してくる自動車までも「拒否」する運動を展開しているためだ。

福岡市内のショッピングモールで計画された福島産の農産物の応援ショップが「不買運動を起こす」などという電話やメールの抗議を受け、中止に追い込まれた。

中には、「福島からトラックが福岡に来るだけでも放射能を拡散する」という単なる言いがかりも含まれていたが、ショッピングモール側はあっさり断念を決めてしまったという。

こうした「確信犯」的な抗議によって、福島県民は多大な損害を被っている。

大阪府内の架橋工事では10月、地元住民らしき人たちの抗議を受け、大阪府が当初予定していた福島県内の建設会社が製造した橋げたを使用しないことを決めた。

9月の愛知県日進市の花火大会でも、住民らしきグループの抗議を受け、福島県川俣町の花火が拒絶された。

いずれのケースも、担当者が「福島産」の拒否を発表したあと、良識ある地元住民から「何の科学的根拠もない決定で、恥ずかしいことだ」とはるかに多い数の抗議を受けている。

原発を日本からなくしたい少数のグループによって、「福島産」をボイコットする運動が広がっている。刑事事件にならないまでも、抗議したグループを特定して、損害賠償を求めていいのではないか。(織)