米太平洋軍のウィラード司令官が27日の記者会見で、ロシア軍が日本に対する挑発行為を繰り返している問題について、「ロシア太平洋軍は91年のソ連崩壊以降の軍事能力の著しい低下からの脱却を目指している」と述べ、軍事力を再興する試みであるとの見解を示した。

そのうえで同司令官は、「ロシアが米国と日本にとって太平洋地域の建設的なパートナーとなるよう関係を強化する必要がある」と指摘した。

これは、ロシア大統領に来年、プーチン首相が復帰することを念頭に置いたものだろう。プーチン氏はメドベージェフ現大統領よりも「力を信奉する」典型的なリアリストの政治家だ。その点で、中国の軍拡には神経を尖らせており、いかに極東・太平洋地域で軍事バランスを保つかを考えている。

ウィラード長官はそれを踏まえて、米露の協力関係を強めたいと考えているわけだ。日本としても、アメリカと歩調を合わせ、対中国戦略の中での対露関係強化を考えていくべきだろう。(織)