民主党は5日、党の税制調査会の復活を決めた。会長には、増税派で元財務相の藤井裕久氏を起用。野田内閣発足に伴う党役員人事の一環だが、これは増税に向けた布陣を固めたことを意味している。

野田内閣が進めたいのは、東日本大震災の復興の財源(10兆円超)としての所得税・法人税の臨時増税(復興増税)や、税と社会保障の一体改革に伴う消費増税である。

だが、増税議論については、民主党内にも激しい反対論があるため、「今後の具体化に向け、旧大蔵省出身で財務相を務めた藤井氏を党税調トップに配置し、反対派を押さえ込みたいとの意向が透けて見える」(6日付産経新聞)。

一方で、安住淳財務相はここ数日、積極的に新聞やテレビなどに露出し、政府が復興財源について税外収入など増税以外で3兆円を捻出して増税の幅を圧縮する趣旨のことを語り、「政府も努力しているので、国民も協力してください」というポーズを見せている。

だが、この「増税」気運を高めようとする野田内閣の動きは極めて危険である。「財政健全化」と言えば聞こえはいいかもしれないが、ただでさえモノが売れないデフレ不況が続く日本で増税すれば、さらに日本経済は衰退が加速する。

今やるべきは、必要な公共投資をしたり、日銀が紙幣を刷ることであり、宇宙・航空や海底資源など成長産業分野への思い切った投資である。(格)