東北大学のグループが、月面着陸を目指すコンテストに出場するとして、29日、無人探査車の試作機を公開した。2014年に打ち上げて一番乗りを目指すという。

このコンテストは、「グーグル・ルナー・Xプライズ」で、民間資金だけで開発した探査車を2015年までに月面に着陸させたうえで、500メートル走行させ、月面の高解像度画像を地球に送信するというもの。送信完了がレースのゴールで、1位のチームには米検索大手グーグルから2000万ドルが贈られる。

Xプライズ財団のディアマンディス会長はコンテストの意義について「新型ロボットや仮想実在テクノロジーの開発が促進され、宇宙開発の費用が劇的に削減される」と語っている。

今まで宇宙開発は、アメリカのアポロ計画やスペースシャトルのように多額の国費でまかなわれてきた。これを民間の企業家精神によって担っていこうという試みだ。

東北大チームの健闘を祈りたいが、そのほかにも日本の宇宙開発は各所でチャレンジが始まっている。日経ビジネス最新号では、そのいくつかを紹介している。

北海道大樹町では、宇宙空間を高速で移動するスペースプレーンのための滑走路(4000メートル)構想が進んでいるとレポート。東京~ニューヨーク間を2時間半で移動できる夢の乗り物で、北海道工業大学の佐鳥新教授は「道内では衛星からロケットまで宇宙に関するあらゆる開発が進められている」とコメントしている。

人の移動時間の面でも、新エネルギー開発の面でも、「宇宙」が人類にとってのフロンティアであることは間違いない。増税論議で暗くなるばかりの日本には、国民を奮い立たせるような夢のある構想が必要だ。(織)