民主党代表選は29日に投開票され、新代表が決まり、30日に新首相が選出される。

28日時点で海江田万里経産相が優勢で、前原誠司前外相、野田佳彦財務相、鹿野道彦農相が追う展開。

鹿野氏がベテラン議員の支持を集めて追い上げているが、態度未定の100人以上の議員は、結局は「次期衆院選の顔」として前原氏にある程度流れるのではないだろうか。

そこで前原氏と海江田氏の外交スタンスについて見てみたい。前原氏は憲法改正が持論で、中国に対する脅威論も展開したことがあり、中国からは「タカ派」として警戒されている。ただ、対北朝鮮ではタカ派色が影を潜める。

京都府議時代の92年に初めて訪朝し、その後97年に衆院議員として二度目の渡航をした。この際、よど号ハイジャック犯と面会しており、北朝鮮サイドに立った動きをしている。これまで前原氏は「拉致事件にこだわらず、核問題なども含め日朝交渉をやるべきだ」という主張をしていたので、「親朝派」と言っていいだろう。

一方の海江田氏は、筋金入りの「親中派」だ。中国共産党によるチベット侵略を正当化し、「働かないチベット人に労働意識を持たせた」という趣旨を語っている。中国共産党が勝手に決めたパンチェン・ラマを支持するほど中国ベッタリだ。その甲斐もあって、中国メディアは首相まであと一歩となった海江田氏について、「中国文化を愛好し、対中関係に積極的」と高く評価している。

民主党にはやはり、外交でピント外れの政治家が多い。昨日の日本記者クラブでの共同記者会見では、外交・安全保障がほとんどテーマにのぼらなかった。中国が空母やステルス戦闘機、対空母ミサイルを持ち、東アジアでの軍事的優位を打ち立てようというときに、質問しないマスコミもマスコミだ。(織)