防衛省が、日本最西端の与那国島の町有地を取得し、陸上自衛隊の「沿岸監視部隊」を配備する方針を固めたことが明らかになった。

防衛省は、2012年度予算の正式決定前に財務省に提出する見積もり(概算要求)の中に、用地取得費や建設費の一部を盛り込む見通し。2015年度までにヘリポートや隊舎を整備する。沿岸監視部隊は100人規模を想定しており、レーダーなどで外国船舶の航行を監視する。

与那国島は、周囲28キロ、人口1600人。フジテレビ系列のテレビドラマ「Dr.コトー診療所」の舞台としても有名で、ダイビングや海底遺跡が人気の自然豊かな島である。

しかし、昨年9月に事件があった尖閣諸島からは120キロ程度しか離れておらず、島の近くでは中国の軍艦が頻繁に目撃されている。また、与那国島の111キロ西には台湾があり、夏から秋にかけて晴れの日には台湾の山影が確認できるほどの近さ。1996年の台湾総統選のときには、中国が台湾北部の海域に弾道ミサイルを撃ち込んで威嚇したが、そのとき海面に上がった水柱や轟音を、多くの島民が見聞きしている。

筆者が昨年10月に取材で与那国島を訪れたときは、中国の軍事的な脅威がすぐ目の前にあるにもかかわらず、この島に自衛隊はおらず、警察官2人と拳銃2丁のみで守っている状態だった。地元の漁業者からも、「この島では、自衛隊誘致の環境が整っている。漁業者が安心して漁をするためにも、日本を守るためにも、政府は一刻も早く与那国島に自衛隊を配備すべきだ」という声が上がっていた。

今回の防衛省の動きは歓迎したいが、空母建設など中国の軍事拡大のスピードに対応するには、日本の国防力強化のスピードも加速させる必要がある。(格)

【参考記事】

2010年12月号 沖縄には米軍も自衛隊も必要だ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=45

ウェブ版限定記事 沖縄が中国に脅かされている

沖縄本島・石垣島・与那国島 現地ルポ&インタビュー

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=112