オーストラリア政府が中国とインドへの対外援助を段階的に止めることを決めた。14日付フジサンケイビジネスアイが報じた。オーストラリアのラッド外相は7日の記者会見で、中国とインドを援助対象から外す理由について「両国は世界で2番目と6番目の経済大国で、十分な経済力がある。さらに独自で国際支援も行っている」とした上で、「援助は国益を考えるべきで、資金を無駄にすることはできない」と述べた。

一方で日本は、前原誠司前外相が中国の経済成長を理由に、中国に対する平成24年度予算の政府開発援助(ODA)供与額の「大幅削減」を指示していたが、結局、実質7.6%減にとどまり、42億5千万円となる方向だ。かねてより丹羽宇一郎・駐中国大使は尖閣事件後の関係改善のために対中ODAを「続けるべきだ」と主張していた。

ラッド氏は09年の首相在任当時、国防白書で中国軍の警戒と軍備増強の方針を発表しており、その際、中国の懸念を心配する質問に対して「首相の責任は国の安全保障だ。そのことについて誰かに釈明することはない」と答えている。中国の顔色ばかりうかがって、国益を考えない、どこかの首相に聞かせたい言葉だ。(吉)