豊富な資源に恵まれた南シナ海の領有権をめぐり、中国と東南アジア諸国が艦船を出すなどして緊張状態が続いている。この問題に関して、横暴にふるまう中国の姿を報じた4日付毎日新聞の記事が興味深い。

記事によると、6月中旬、北京で、日本の自衛隊高級幹部OBと中国人民解放軍幹部や軍事専門家との意見交換会が行なわれた。その席で、日本側が「中国は南シナ海問題で、もっと穏やかに対応してはどうか」と尋ねると、中国側は歴史的経緯にさかのぼり、「ベトナムは海底資源を豊富であることがわかって領有権を主張し始めた」などとベトナム側の非を説明。日本側の出席者は、「(その内容が)あまりに一面的なのに驚いた」「中国軍関係者には、自分たちが国際社会でどう見られているのかという意識が薄い」と振り返ったという。

国際社会での中国の横暴さは目に余るが、昨年9月の尖閣事件の際も、中国政府は「尖閣は中国固有の領土である」と主張してはばからず、北京に駐在する丹羽宇一郎大使を何度も呼び出すという外交上、非常に無礼な振る舞いを行った。

また中国は、日本などから得た技術でつくった新幹線を「独自技術で国産化した中国製」などとして海外に輸出しようとしている。中国は、世界第二の経済大国に成長し、国際社会への影響力を強めているが、当たり前の国際マナーやルールを身に付けるのはこれから。つまり、図体は大きくて大人のように見えるが、中身はまだ子供ということである。

ある識者によると、中国人が一番尊敬する日本の政治家は「小泉純一郎」で、批判を受けながらも靖国神社に参拝した小泉首相は、中国人の目には「強い政治家」と映るという。そうであるならば、中国が他国の国益を侵害したり、国際ルールから逸脱したときには、日本は民主主義や自由という価値観を共有する各国とともに正論によって中国を啓蒙してあげなければならない。中国の常識は、世界の非常識なのだから。(格)