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世界中が研究・開発を進めているAI(人工知能)に必要な「電力」をめぐり、中国は「異常に安い電力価格」と「大規模な発電量」でアメリカを上回っています。

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AIや半導体産業には大量の電力が必要で、特にAIはデータ学習の際に大量の電力を消費します。国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターの電力消費量が2026年には、22年比で2.2倍に増えると試算しています。

そうした中、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、中国の24年の発電量はアメリカの2倍を超えた一方で、中国のデータセンターの一部の電気代は、アメリカのデータセンターの半分以下の電気代で済んでいるといいます。今や中国は世界最大規模の送電網を有しており、2010~24年の中国の発電量の増加幅は、世界の他地域を合計した分を上回るといいます(12月19日付電子版)。

中国が巨大な送電網を構築できているのは、国家主導で投資を進めてきたためです。中国共産党は1970年代以降、電力不足が国の発展を妨げることを懸念して、何百もの石炭火力発電所の建設を指示。2024年にも新たに石炭火力発電所の建設を開始しましたが、これはアメリカの既存石炭火力発電所の総発電容量の半分以上に相当します。中国の現在の発電設備容量は3.75テラワットと、アメリカの2倍以上あると指摘されています。

こうして、安い大量の電力を賄うことで、高品質なAIモデルをアメリカなど他国の企業よりも安く開発することができています。

一方、アメリカがここまで中国に水をあけられている原因は、オバマ・バイデン民主党政権が躍起になって進めてきた「再エネ政策」にあります。アメリカでは2010年以降、300を超える石炭火力発電所が閉鎖され、発電量に占める石炭火力の割合は45%から16%にまで縮小。バイデン前政権も、火力発電に規制をかけ、石油採掘を大幅に制限する一方、太陽光・風力といった再生可能エネルギー発電に多額の補助金を投じてきました。これが電力・エネルギー価格の高騰を引き起こし、米産業の足を大きく引っ張っています。

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