《ニュース》

自民党と国民民主党は18日、所得税がかかり始める「年収の壁」について、現行の160万円から178万円に引き上げることで合意しました。この合意に基づき与党は19日に決定した、2026年度の「税制改正大綱」に引き上げを明記しました。

《詳細》

「年収の壁」を巡っては、国民民主党が24年10月の衆院選で、当時の「103万円」から「178万円」への引き上げを掲げ、「手取りを増やす」と訴えて大躍進を果たしたことで議論が本格化。同年12月、自民党、公明党、国民民主党が「178万円」を目指して引き上げることで合意していました。

しかし、「所得制限なしで非課税枠を引き上げる」とした当初の国民民主党案では、減税規模が年間7~8兆円と大きくなることに自民党が難色を示し、25年度の税制改正では160万円への引き上げにとどまっており(減税規模1.2兆円)、国民民主党がさらなる引き上げを求めていました。

今回の合意の結果、基礎控除の最大額(現行58万円)を62万円へ、また、給与をもらう会社員が対象の給与所得控除の最低保証額(現行65万円)は74万円へ引き上げることが決まりました。

加えて、「特例措置」として基礎控除の上乗せを、2026、27年に限り、納税者の8割に当たる年収665万円までの中低所得者を対象に一律42万円に増額します。

これらを足すと、「年収665万円まで」の所得税の非課税枠(基礎控除+給与所得控除+特例措置)が、178万円となります。

高市首相は「所得を増やして消費マインドを改善し、事業収益が上がるという好循環を実現するために最終的な判断を下した」、国民民主党の玉木代表は「国民の皆さんから託されたミッション・コンプリート(任務完了)ということで、一つの区切りを迎えることができた」と成果を強調しています。

これまでの高市・自民党と玉木・国民民主党の協議では、178万円への引き上げの中身について、減税の対象者を「低所得者のみ」を対象とした自民党案と、「中・高所得者」を含めた国民党案で議論が分かれていました。結果的には一部「中所得者」を含めた形で妥結されましたが、減税規模は年間6500億円(財務省試算)にとどまり、所得制限なしで一律に非課税枠を引き上げる当初の国民民主党案(7~8兆円)に比べると大きく後退しました。

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