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《ニュース》

香港で「民主派メディア最後の砦」と呼ばれる「蘋果日報(リンゴ日報)」の創業者・黎智英(ジミー・ライ)氏(78)が15日、香港国家安全維持法(国安法)違反などに問われた裁判で有罪判決を受けました。

《詳細》

ライ氏は、2023年12月18日から始まった裁判で、国安法に規定された「外国または域外勢力と結託し、国家の安全に危害を加える罪」2件と、刑事罪行条例違反の罪(扇動出版物発行などの共謀罪)1件に問われており、今月15日にその全てで有罪が確定しました。

判決は、ライ氏が2020年12月に米FOXニュースのインタビューで、香港の真の「法の支配と自由」の回復を中国に迫るため、米政権に対中貿易交渉にあたるよう求めた点が、「外国勢力との結託」であり国安法違反であると断定。また、19年4月から21年6月までにリンゴ日報が発行した161本の記事について、「中国及び香港政府への憎悪などを煽った」として刑事罪行条例違反と認定しました。

量刑は、来年1月12日に情状酌量などを検討する公判を開いた上で後日、言い渡されるといい、国安法の最高刑である終身刑が下されるとの見方が強いです。ライ氏は20年12月に収監されて以来、約5年に及ぶ獄中生活が続いており、健康状態も危ぶまれる中、いかなる量刑であれ事実上の終身刑となることが懸念されます。

裁判を巡っては、アメリカやイギリスをはじめとした国際社会や人権団体などが、ライ氏の即時釈放を求めてきました。

今回の有罪判決を受け、イギリスのイベット・クーパー外務大臣は「政治的動機による」訴追であると非難し、英国籍を持つライ氏の即時釈放を求める声明を15日に発表。EUも「即時かつ無条件の釈放」を求める声明を改めて発表しました。

トランプ米大統領は15日、有罪判決について「非常に残念だ」とし、「(中国の)習主席とこの件について話し、釈放を検討するよう要請した」と述べています。

《どう見るか》