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患者の健康にメリットのない医療行為に、日本で年間、最大で3千億円以上が費やされている試算を、研究チームがまとめました。
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筑波大学や米カリフォルニア大学ロサンゼルス校などのチームがまとめた試算結果によると、患者の健康と無関係か、弊害の多い医療行為など「低価値な医療」に、3千億円が費やされているといいます。
低価値な医療の典型例としては、風邪に対する「抗菌薬の処方」や「去痰薬の処方」「咳止め薬の処方」などです。例えば、風邪に抗菌薬を使っても効果がなく、薬が効きにくい耐性菌を生む弊害があったり、副作用を起こすリスクがあるといいます。
他にも、「消化不良や便秘に対する不必要な内視鏡検査」「適応のないビタミンD検査」など、不必要な検査を行うことで、偽陽性が生まれたり過剰診断が行われて、不必要な追加検査や治療につながる可能性が生じているといいます。
また、456億円は長期的な腰の痛みなどに対する湿布薬などの「外用薬」の処方が占めていましたが、こうした薬は、医学的には長期の痛みには効果が乏しいとされているといいます。
筑波大学の研究チームは6月にも、全国の診療所を受診した250万人中、低価値医療の提供を受けた患者が27万人(およそ10人に1人)の割合となっていたとする論文を発表。「多くの低価値医療・無価値医療が公的医療保険でカバーされていること、また外来診療では、診療や処方の回数が増えるほど報酬も増える仕組み(出来高払い制度)になっていること」が要因と考えられる、としていました。
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