《ニュース》
定額制動画配信サービス「アマゾンプライムビデオ」が、英人気スパイ映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンドのデジタル広告写真から、彼の象徴である「銃」を編集で削除し、批判の声が相次いでいます。
《詳細》
「007」は、イギリス政府の諜報機関MI6に所属するスパイ「ジェームズ・ボンド」の華麗な活躍を描くアクションシリーズです。性別関係なく惹きつけられるボンドの「男としての魅力」や、奇想天外な秘密兵器もくり出す「ド派手」なアクションシーンなどが人気を博し、世界中で愛され続けています。
アマゾンプライムビデオは、シリーズ一作品目が公開された10月5日の「ジェームズ・ボンド・デー」に合わせ、自社や他のプラットフォームでサムネイル(見本画像)として使用するデジタルポスターを公開しました。しかし、それらの画像すべてから、ボンドの象徴である「銃(ワルサーPPK)」を加工編集によって削除していました。
例えば、「007 ドクター・ノオ」の写真では、右手に持っていたはずの銃が消され、「初めから何も持っていなかった」ように修正されています。「007 美しき獲物たち」では、ボンドの腕が「引き延ばされた」ように見え、銃を持つ右手ごとフレームから切り取られています。その他の画像も、銃が見えない状態に編集されています。
このあからさまな修正を受けてネット上では、「銃を全部フォトショップで消したんだ」「銃がなければ、ショーン・コネリー(俳優)は滑稽に見える」「彼らは『ボンド・ブランド』を完全に台無しにするだろう」などの批判が噴出。特にリベラル・左翼勢力の多くが銃規制を声高に唱えていることも、批判される要因になっています。
あまりに批判が殺到したため、アマゾンは写真を差し替えることになりました(ただ「銃を持っていない画像」に変えただけです)。
「007」をめぐり、もう一つ議論を呼んでいるのが、「次期ボンド役に女性が登用されるのではないか」というものです。
ボンド役はこれまで数々の俳優が演じてきました。2006年から続いていた6代目のダニエル・クレイグ氏が2021年にボンド役を引退すると表明。「次期ボンドは誰になるのか」という議論が活発化する中、"多様性"の波が社会に広がっているために、「女性ボンドやゲイのボンドが登場するかもしれない」という噂も飛び交うようになりました。
そんな中、長らく007シリーズを手掛けてきた「ブロッコリー家」が率いるプロダクションが今年2月、「アマゾンMGMスタジオ」に経営権を譲渡したことで、多様性を打ち出す流れが加速するのではないかと、改めて懸念が強まっています。
というのも、アマゾンは実際に"前科"があり、幹部陣の会議の中で、「007シリーズで女性を主人公にしたテレビのスピンオフ作品」のアイデアも出たことがあるといいます(2024年12月29日付米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版)。
かつてボンドの悪役を演じたロバート・ダヴィ氏は今年2月、「もし流行に流されてしまうとしたら、特に完全に科学に基づいていない流行に流されてしまうとしたら、少し恐ろしい」と語り、「ファンが愛する、男らしくて女好きのボンド」ではなくなってしまうことを懸念していました(2月25日付米フォックス・ニュース)。フェミニストを自称する女優ヘレン・ミレン氏も、「ジェームズ・ボンドは男じゃなきゃダメ。女性ではうまくいかない。そうじゃないと、何か別のものになっちゃう」と指摘しています(8月18日付英誌サガ)。
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