2025年10月号記事
クルド人・中国問題…
移民をどう考えるか
SNSに「外国人の犯罪」が大量に拡散され、外国人に日本が乗っ取られる印象″が広がっている。
本当にそうなのか。日本で生活する外国人が増える中、外国人政策の中道を探った。
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クルド人・中国問題… 移民をどう考えるか ─ Part 2 それでも移民が必要な理由
それでも移民が必要な理由
昨年、和歌山県1つ分となる約90万人の日本人人口が減った。
政府は2024年までの少子化対策に計66兆円以上の莫大な予算を投じてきた。だが24年の出生数は、10年前より3割も少ない68.6万人に落ち込み、凄まじい勢いで進む人口減少を食い止められていない。
移民か、縮小か
これからの日本がとれる道は、大きく見ると2つある。
1つは「アメリカ型の、『収入の少ない国、発展途上国からの移民を受け入れ、労働力を増やすことによって、子供を産めるような社会にする』」という移民路線で、もう1つが「『八千万人ぐらいにまで人口が減っても同質性を失わないような社会をつくっていく』」という縮小路線だ(*1)。
日本人は文化的に移民に抵抗感があることは、よく言われている。そのため、「移民を入れない方がリスクは少ない」ように見えるものの、縮小路線の道は、これから述べる2つの大きな問題に直面することだけは確かだ。
(*1)『奇跡の法』
1 高齢化率40%へ 社会保障は確実に破綻する
多くの人が恐ろしくて言いたがらない問題として、人口が8000万人程度になる縮小路線を選んだ場合、年金や医療などの社会保障制度は間違いなく崩壊する。
2020年時点の社会保障では、「現役世代2.1人で、65歳以上の高齢者1人」を支えている。だが楽観的な見通しであっても、「2070年には現役世代1.3人で高齢者1人」を支え(高齢化率38.7%)、地方では半分以上が高齢者になる自治体が急増する(*2)。しかもその予測は、「外国人が年間16万人程度流入する前提」であり、外国人を排除すれば、高齢化率などはさらに悪化する。
(*2)国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」(2023年推計)

すでに、税金と社会保険料の負担(国民負担率46%程度)が現役世代に重くのしかかり、江戸時代の百姓一揆の発生ラインである「五公五民」を目前にする。
もし2人に1人が高齢者の社会で今の年金を維持しようとすれば、「給与の約80%を保険料で召し上げられる」と試算されている。そこまでできない場合、年金の大幅減額と消費税を40%近くに上げる必要がある。いずれにせよ、今の年金を維持することは「不可能」と言われている(*3)。
大川総裁は、「『移民』という政策を採らないかぎり、この国は絶対に潰れます」と警鐘を鳴らす(*4)。
(*3)明治大学大学院教授の加藤竜太氏の指摘。
(*4)『幸福維新』
1100万人の人手が消える衝撃
世界の大国の責任を果たせ
移民のギモンに答えるQ&A(治安は悪化する? 財政負担が増える?…)

























