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平将明デジタル担当大臣がこのほど「外国勢力によるネットを使った選挙介入」について、新法制定も含めた対策の検討が必要との認識を示したことが、言論検閲につながるのではないかとして、物議を醸しています。

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平氏は参議院選挙後の22日の記者会見で、インターネットや生成AIの発達によって、「外国から選挙に介入する素地ができてきた」と指摘。その上で、オーストラリアが立法措置や組織体制を整備しているとして、海外事例の研究が必要と強調しました。

背景にあるのは、先の参院選中に浮上した、「ロシアがネット上で世論操作をしている」という疑惑です。情報法制研究所上席研究員の山本一郎氏が選挙期間中の15日、「ロシアがXなどのSNSで大量のアカウントを使い、日本政府・与党に対するフェイクニュースや印象操作を行った投稿を拡散させている。これが参政党などを有利にしている」という主張をネット上に投稿しました。同党は参院選で、14議席を獲得して躍進しました。

この投稿が注目を集めます。小泉進次郎農林水産大臣が街頭演説で、「外国勢力が利用、拡散して自民党をおとしめよう、日本の政治を不安定化させよう(としている)」と発言。前出の平氏も記者会見で、「外国においては、他国から介入される事例なども見て取れる。今回の参議院選挙も一部そういう報告もある」と述べ、青木一彦官房副長官も、「我が国もこのような影響工作の対象になっている」との認識を示しました。その他、自民党の小野寺五典政調会長や、国民民主党の玉木雄一郎代表、日本維新の会の前原誠司共同代表などがSNS上で投稿を引用し、問題視しました。

その後、山本氏の投稿で名指しされたニュースまとめサイト「JAPAN NEWS NAVI」のXアカウントのほか、10万人単位のフォロワーを有する複数のアカウントが、「ロシア関連」と見なされて一斉に凍結されました。

この一連の流れに、保守派を中心に懸念の声が相次ぎました。中でも物議を醸したのが、元デジタル相で自民党広報本部長を務める平井卓也氏の発言です。平井氏は17日に配信されたネット番組で、上記のアカウント凍結に関する話の流れで、「われわれ、相当"消し込み"に行っていますからね」と"暴露"。「われわれ」が指す主体や、手段については定かではありませんが、これに、「言論弾圧」「自民党がSNSをコントロールしているのか」などと批判が殺到しました。

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