《ニュース》
関西電力は22日、美浜原子力発電所(福井県)において、原発の「新設」に向けた地質などの調査を開始すると発表しました。
《詳細》
政府は今年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画で、原発を最大限活用する方針を示し、総発電量に占める原発の割合を2040年度に「2割程度」とする目標を掲げています。そのため今回の関電の方針は、日本のエネルギー政策の重要な節目になると注目が集まっています。
福井県美浜町にある美浜原発は1~3号機まで稼働していましたが、2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故を受け、全て停止しました。その後、老朽化した1、2号機は廃炉が決定し、3号機のみが稼働している状態です。
関電によると、三菱重工業が開発中でより安全性が高い「革新軽水炉」という次世代の発電炉の導入を想定しているといいます。地元住民に説明して理解を得た上で調査に入り、基本計画を策定し、原子力規制委員会の認可を得られれば、建設工事を開始することができます。
国内では、09年に稼働した北海道電力泊原発3号機を最後に、原発の新設はありません。ただ、既存の原発の多くで老朽化が進んでいる上に、原発は調査から稼働まで20年はかかるとされていることから、建て替えの早期判断を迫られていました。
新設が要請されているのは、老朽化に加え、急速なAIの進化に伴って電力需要が増加しているためです。関電の森望社長も記者会見で、「電力需要はデータセンターや半導体産業の急激な成長を背景に伸びていく。脱炭素を進めるためにも原子力は必要不可欠だ」と述べています。
AIはデータを学習する際に多量の電力を消費します。国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターの電力消費量が26年に、22年比で2.2倍に増えると試算。例えば、対話型AI「チャットGPT」の1問答に必要な消費電力は「グーグル検索」の10倍に相当するといいます。
こうした中アメリカでは、民間のIT企業が原発を推進する動きが活発化しています。今年3月には、グーグルやアマゾン、メタといったアメリカの大手IT企業が「50年までに世界の原子力発電設備容量を3倍に増やす」という目標を支持する誓約書に署名しました。グーグルは5月に原発を手掛ける企業に資金提供し、米国内に60万キロワット級の原発を3基設けると発表し、アマゾンも原発の投資に5億ドル(約750億円)を投じるとしています。
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