© 2025 Yukikaze Partners.
2025年9月号記事
Movie
編集部がオススメする「今こそ観たい」映像作品。
「雪風 YUKIKAZE」
8月15日全国公開
80年前の海から届く、武士道の心
- 【スタッフ】
- 監督:山田敏久
- 【キャスト】
- 出演:竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、田中麗奈、益岡徹、石丸幹二、中井貴一 ほか
- 【配給等】
- 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス
- 【公開日】
- 2025年8月15日全国公開

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レビュー
「一人残らず引き上げろ!」。先任伍長・早瀬の号令が飛ぶ。沈みゆく巡洋艦『三隈』から海に投げ出された数多くの乗員。彼の迅速な判断で敵機を退け、最後の一人まで引き上げると、駆逐艦『雪風』は爆撃を的確に回避しながら海域を離脱していく。やがて新たな艦長・寺澤を迎えた『雪風』は、マリアナ沖、レイテ沖海戦を戦い抜き、戦艦『大和』らと共に最後の戦場・沖縄へと向かう……。
小型軽量で機動性の高い駆逐艦は、先陣を切って魚雷戦を戦い、艦隊を護衛。兵員や物資の輸送、上陸支援、沈没艦の乗員救助など、濃密な任務を担い、次々と沈んでいった。
主力の甲型駆逐艦38隻のうち、終戦まで健在だったのは『雪風』のみ。「幸運艦」と呼ばれたこの艦は、ミッドウェイをはじめ、過酷な戦いで戦果を挙げ、生き抜き、多くの乗員たちを救いながら帰還を果たした。戦後は復員輸送艦として約13,000人を日本に運んだ後、賠償艦として中華民国海軍に渡り、旗艦も務めた。現在は、主錨と舵輪が広島県江田島市の海上自衛隊に、スクリューが台湾高雄市の海軍軍官学校に保存されている。
史実に基づく物語として、『雪風』の武士道を壮大なスケールで描いた本作。主演は竹野内豊。武士道を信念に携え、澄み切った精神と統率力を持った艦長・寺澤を演じ切る。『雪風』の幸運は、単なる運ではないだろう。「いつ死んでも後悔しないよう、今をしっかりと生き、最善を尽くせ」。80年前の海から届く彼らの強いまなざしが、今の私たちに凛とした心をよみがえらせてくれるようだ。


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ザ・リバティWeb シネマレビュー
「雪風 YUKIKAZE」
(星4つ。満点は5つ)























