昨日も本欄で伝えたように、海江田万里経済産業相の原発の「安全宣言」と再稼働要請に対し、各紙が夏の電力不足に備えて急いで発表したものとして、運転再開の不安や反対を煽るような報じ方をしている。

  • (朝日)原発急いだ安全宣言 経産相が主導して急いで安全宣言に踏み切った可能性がある。地元の求める「安全」と、政府が良しとする「安全」との間には以前、隔たりがある。
  • (産経)信頼得られぬ「安全宣言」 新潟県、福島県の知事が強い反発姿勢を示すなど、多くの自治体は不信感を募らせており、原発再稼働への道筋は描けていないままだ。
  • (毎日)夏前ありき「安全宣言」 経済産業省原子力安全保安院は、福島第1原発事故のようなシビアアクシデント対策について7日に調査を始めてからわずか11日で原発の「安全宣言」を出した。
  • (読売)IAEA閣僚会議控え 政府内では、菅首相がエネルギー政策で場当たり的なパフォーマンスを繰り返したことが事態の解決を難しくした、との指摘も出ている。
  • (日経)地元要望に配慮 政府と自治体の間にはなお溝がある。両者を隔てる原因は、地元が抱く安全への疑問に政府が答え切れていないことだ。

さらに各紙とも、原発再開に批判的な地方自治体の声ばかりを報じている。これでは、誰しもが原発の運転再開に不安を感じるはずだ。だが、本誌や本欄でもたびたび訴えてきたように、原発や原発事故による放射性物質を不安視する必要はない。それよりも、このまま慢性的な電力不足で経済不況が深刻化するほうがよほど怖い。マスコミは、不安ばかりを煽るのではなく、国民に安心を与える報道も心がけるべきだ。(吉)