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香港政府は、中国が香港に設置した「国家安全維持公署」の活動に全面協力することを法律に明記する方針を固めました。香港に対し、中国本土の統制がより直接的にかかることが懸念されています。

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「国家安全維持公署」は、2020年に施行された「香港国家安全維持法」に基づいて設置されたもので、中国政府が「国家の安全に危害を加える」とみなす犯罪を取り締まるほか、「外国勢力が直接介入する複雑な事案」などについては、直接捜査を行い、容疑者を本土に送って、本土の裁判所で起訴することもできるとしています。

今回、新たに制定される法案では、国家安全維持公署が事件を捜査する場合、公務員は要請があれば必ず協力しなければならず、捜査を妨害することは罪に問われるとしています。一方、国家安全維持公署の職員は香港の法律を順守する義務はなく、捜査や逮捕、拘留の対象にならないため、本土の法執行が一段と香港に及ぶことになります。

香港では、24年3月に香港国家安全維持法を補完する「国家安全条例」が施行され、国家機密を盗むことやスパイ行為、反乱の扇動、外国勢力による干渉などを犯罪とし、最高で終身刑が科されます。今年4月30日には、香港出身で海外に逃亡した民主活動家の資金を違法に処理したとして、父親と兄が国家安全条例の「逃亡犯の資金処理」に違反した容疑で逮捕されました。

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