《ニュース》

アメリカの大手企業が、人種や性別など「多様性確保」のための取り組みを続々と取り止めています。今年に入り、マクドナルドやフェイスブックのメタ、アマゾンなども取り組みを止めたことが明らかになりました。

《詳細》

マクドナルドはこれまで、管理職に占める女性比率を45%、人種・性的少数者の比率を35%に引き上げることなどを掲げていましたが、この目標設定を取りやめることを表明しました。6日の発表では、企業の多様性を評価する「外部調査」への参加を取りやめ、供給業者に「多様性、公平性、包含性」の目標達成を求める誓約を廃止するとしました。

フェイスブックを運営するメタも、採用や社員教育、取引先の選定において「多様性、公平性、包含性」の取り組みを廃止することを従業員に説明しています。取引先の選定では、オーナーの「多様性」を重視する方針を、中小企業を支援する方針へと転換。また、人種や性別などに基づく達成目標があると、それが決定の判断基準にされているという印象を与えてしまうため廃止するといいます(11日付米ニュースサイト「Axios」電子版)。

さらに、アマゾンが社員向けに、社内人材の多様性を確保するための「代表性と包括性」に関する「時代遅れのプログラムや資料の段階的見直し」を行い、2025年末までに完了させる目標である表明したと、10日付ロイター電子版が報道しました。

アメリカでは、2020年に黒人市民が警察に殺害されたことがきっかけで、黒人差別撤廃を訴えるブラック・ライブズ・マター(BML)運動が活発になり、企業が「多様性、公平性、包含性」への取り組みを強化しました。

しかしその一方で、「女性やLGBTへの配慮が行き過ぎていないか」「特定のグループを優遇することが差別になるのではないか」との声も大きくなっています。トランプ氏の当選以降、「ウォルマート」や「ボーイング」「フォード」「ハーレーダビッドソン」など大手企業が相次ぎ「多様性、公平性、包含性」関連の取り組みを縮小すると表明しています。

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