元旦と1月2日は、アメリカはテロのニュース一色だった。
米南部ルイジアナ州ニューオーリンズの繁華街で、新年を迎えたばかりの1日午前3時15分ごろ、新年を祝う群衆に車が突っ込み、少なくとも15人が死亡し、数十人がけがをした。事件で使われたトラックの中に過激派組織「イスラム国」の旗が見つかっている。
画像は1月1日付NBC ニュースのYouTubeより
連邦捜査局(FBI)によると、車で群衆に突っ込んだのは、南部テキサス州出身・在住で42歳の陸軍退役軍人の男、シャムスド・ディン・ジャバール容疑者。当局は1日に、恐らく他の者と共謀していたと発表したものの、翌日の2日に単独行動だったと発表し、前日の見解を一転させた。同容疑者は襲撃の数時間前にフェイスブックに5本の動画を投稿して「イスラム国」への支持を表明し、暴力行為を予告していたことも明らかにした。同容疑者は警察との銃撃戦で射殺された(2日付AP通信)。
FBIの対テロ部門の副次長クリストファー・ライア氏は会見で「これはテロ行為だ。計画的で邪悪な行為だ」「100%イスラム国に触発された」と述べている。アメリカ国内でイスラム国に触発された攻撃としてはここ数年で最悪の死者数だという。
また、同じく1日午前8時40分ごろ、米西部ネバダ州ラスベガスにある「トランプ・インターナショナル・ホテル」の前で、米電気自動車大手「テスラ」製の「サイバートラック」が爆発した。爆発物を車に積み込み、爆発させたと見られている。容疑者はコロラド州在住のマシュー・リベルスバーガーという男で、陸軍特殊部隊「グリーンベレー」に所属する現役軍人だった。同容疑者は爆発前に車内で拳銃自殺していた。他に7人が負傷している。
メディアの報道によると、同容疑者はドイツに駐留する現役のグリーンベレー隊員だったが休暇中だったという。
画像は1月2日付ザ・ヒルのホームページの動画より
FBIのライア氏は、ニューオーリンズとラスベガスの攻撃の間には明らかな関連はないとしている。しかし、2日付ニューヨーク・ポスト紙は、ニューオーリンズでの大量殺人事件の犯人と、トランプ・ホテルの前で爆発テロで自殺した特殊部隊の兵士は、ともにノースカロライナ州の同じ陸軍基地で勤務していたこと、2009年にアフガニスタンに従軍していたことを報じた。そして「2人とも、元旦の同じ朝に、極めてまれな、明らかに計画的な国内テロ事件を起こした」と指摘している。
ニューヨーク・ポスト紙の取材に対し、戦略国際問題研究所の上級顧問マーク・カンシアン氏は、テロ攻撃の発生率が比較的低く、軍隊内に過激主義が蔓延していないことを考えると、驚くべき類似点を無視するのは難しいと語っている。