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北朝鮮は13日、金正恩総書記がウランの濃縮施設を視察する様子を初めて公開しました。

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北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は13日、金氏が遠心分離機と見られる灰色の装置がぎっしりと並ぶ部屋を見て回る写真など、数枚の写真を掲載しました。金氏が視察した核施設の場所や日時は明かされていませんが、専門家らは米朝首脳会談で争点になった平壌近隣の降仙(カンソン)団地である可能性が高いと見ています(14日付ハンギョレ新聞)。

労働新聞は、金氏がウラン濃縮に使う遠心分離機の台数を増やすほか、新型の遠心分離機の導入することを指示し、「兵器級の核物質生産の基盤をさらに強化しなければならない」と、核開発計画の拡大を訴えたことを報じています。

北朝鮮がウラン濃縮施設を公開したのは、米核物理学者ジクフリート・ヘッカー氏率いるスタンフォード大学の研究グループに、北部の寧辺(ニョンビョン)の核施設の見学を許可した2010年以来初めてです。

13日付AP通信の報道では、韓国のアサン政策研究院のヤン・ウク氏が写真に写っている遠心分離機の数は約1000基あると指摘。1000基の遠心分離機を1年間フル稼働させると、核爆弾を1発つくる上で必要な高濃縮ウラン(約20~25キログラム)を得ることができると語りました。さらに、北朝鮮は複数の核施設で約1万基の遠心分離機を稼働させていると推定されるとも述べています。それにより、年間12~18発の核爆弾をつくるのに十分なウラン濃縮量を生産している可能性があるといいます。

また北朝鮮は13日、「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイルの移動式発射台を新たに開発し、金氏の立会いの下で発射実験を行ったことを明らかにしました。これは12日に複数発発射され、360キロほど飛行して日本の排他的経済水域外に落下が確認されたミサイルを指していると見られています。

さらに同日、金氏は訪朝したロシアのショイグ安全保障会議書記と会談し、露朝の協力を拡大することを確認しました。北朝鮮は、両氏が一緒に金氏の独メルセデス・ベンツ社のものと見られる専用車でドライブする様子を公開し、蜜月ぶりをアピールしています。

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