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19日に開幕した米民主党の全国大会に先立つ16日、ハリス氏は新たな経済政策案を発表しましたが、それに対する批判が強まっています。
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民主党全国大会で採択された選挙公約である政策綱領は、バイデン米大統領が選挙戦からの撤退を表明する前に民主党の委員会で可決されていたもので、ハリス氏の政策はほとんど反映されていません。
ただハリス氏は、党大会に先立つ16日に、バイデン政権の方針を取り入れつつ、新たな経済政策を発表。しかしあまりのバラマキ色の強さに、批判の声が上がっています。
例えば、食品価格が相当高止まりしている問題について、企業が「貪欲さ」によって大きな収益を上げているとし、「食料品の価格つり上げの禁止」を実施するよう提案。この「価格統制策」には、クリントン政権やオバマ政権の経済顧問らから、「価格上昇に対する政府の規制は、商品不足を招いて逆効果になる」と批判を受けました。トランプ氏も「共産主義であり、マルクス主義であり、ファシストだ」と厳しく非難しています。
また、2年間で40%以上も価格が高騰した住宅コストの抑制策として、「今後4年間で300万戸の新規住宅の建設を進め、価格を低下させる」と発表(バイデン氏が年初に発表した予算教書では200万戸)。合わせて、「初めて住宅を購入する100万人に対して2万5000ドルの頭金補助の実施(予算教書では40万人)」「住宅建設促進のため、400億ドル規模の基金の創設(予算教書では200億ドル)」などを示しましたが、「莫大な費用がかかり、高騰する住宅価格をさらに引き上げる」「実現不可能」と批判されています。
今回のハリス氏の経済政策案によって、政府支出は10年間でおよそ2兆ドル(約300兆円)に上るといいます。ハリス陣営は、この財源は企業と高所得者への課税で賄うと主張しています。「法人税を21%から28%に上げる」方針を発表したほか、バイデン氏の44.6%のキャピタルゲイン税(株式など資産の売却による利益にかかる税金)の導入を支持しています。
これに対し、リベラルメディアである米紙ワシントン・ポストですら、「(バイデン・ハリス政権が主導した「米国救済法」で引き起こした)インフレの責任を大企業に転嫁している」「(2兆ドルという金額は)アメリカ人が苦しんでいるインフレを引き起こした『米国救済法』と実質的に同額。言い換えれば、彼女はバイデン・ハリス政権の経済的失敗から何も学んでいない」と厳しく指摘しています(8月21日付電子版)。
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