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11月のアメリカ大統領選挙で対決するトランプ前大統領とハリス副大統領の支持率が「拮抗」していると、多くのメディアが複数の世論調査をもとに報道しています。

《詳細》

バイデン現大統領が撤退し、急きょハリス氏が大統領候補として名乗りを上げて以降、「ハリス氏優勢」とする世論調査が複数発表されています。

ロイター/イプソスが7月23日に発表した世論調査では、ハリス氏への支持率が44%となり、トランプ氏の42%を上回ったと、日本の主要メディアが矢継ぎ早に報道。米ブルームバーグとモーニング・コンサルトの世論調査でも、ハリス氏が1%上回るなど、「ハリス氏がトランプ氏より人気がある」かのように見せる報道が相次いでいます。

しかし、米選挙分析サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、米CNNやニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などの多くの世論調査では、トランプ氏が依然としてリードしており、全体平均でも2ポイントの差をつけています。

世論調査を見る際は特に、共和党・民主党の支持率が拮抗している「スイング・ステート(激戦州)」の状況を注視する必要があります。モーニング・コンサルトの調査で、激戦州7州のうち4州でハリス氏がリードしたとして、主要メディアは「ハリス氏がトランプ氏のリードを奪った」と報道。しかし、米エマソン大学とヒル紙の調査では、激戦州5州のうち4つの州でトランプ氏がリードしています。

ハリス氏は、高齢ぶりや健康不安が露呈していたバイデン氏に代わり、「若い黒人女性」として登場したこともあり、勢いづいているように見えます。ただ世論調査を子細に見れば、民主党にとって重要である黒人の支持率が全く伸びておらず、他候補と比較していない「ハリス副大統領」としての支持率は4割を切っており、不支持率が過半数を超えているのが実状です。

テレビ討論会でのバイデン氏の絶望的なパフォーマンスや、トランプ氏の暗殺未遂事件を経て、「トランプ再選はほぼ確実」と見られてきました。そこでリベラル派は、ハリス氏を持ち上げることで、トランプ氏の勝利を阻止しようとしています。ハリス氏は副大統領として目立った実績がなく、後述するような思想性や能力不足も問題視されていますが、民主党もメディアもそれらをひた隠しにし、大統領選に持ち込もうとしているのです。

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