2024年5月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 46

習近平はバイデン再選を願っている

世界の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」をお届けする。

蔡東杰

台湾・中興大学終身特別教授

蔡 東杰

(ツァイ・トゥンチエ) 台湾生まれ。国立政治大学政治研究所博士号を取得。中興大学国際政治研究所所長や台湾政治学会会長などを歴任した。現在は、中興大学人文社会科学展望研究センター所長や現代日本学会副会長などを務める。

私は中国の外交政策などを専門にしており、長年ウォッチしてきました。習近平政権の外交はトウ小平時代よりも積極的であり、その当時よりも外交パワーを有しています。外交パワーは国力に比例する側面が強いので、それだけ国力が大きくなったことの証左と言えます。

中国では現在、アンチ習近平派の動きが活発化したり、経済が停滞したりするなど、政府への反感が集中しやすくなっています。民主主義国であれば、政府への不満は与党や野党に分散し、バランスをとろうとします。しかし独裁体制の中国では、全ての責任は中国共産党にあるため、批判もその一点に集中します。その不満のはけ口として習近平政権が、強硬的な対外政策に出る可能性は高まっていると見るべきです。