《ニュース》

バイデン米政権は28日、機微に触れる個人情報を、中国などの「懸念国」に大量販売することを禁じる大統領令を出しました。

《詳細》

対象は、個人の遺伝子情報や地理情報、健康状態、経済状況、コンピューター使用時のキーボード入力パターンなどの個人識別情報などが、念頭に置かれています。通常の企業活動に加えて、スマホアプリやスマートウォッチ、カーセンサーなどのデジタル機器等を通じて生成されるデータを含みます。

従来、ハッキングなど明らかに不正な情報収集は、当局が阻止することが可能でした。一方、商業利用などのためなどとしてデータブローカーを通じて情報を購入することは、「合法」であり、現に無数の情報が迷路のような経路で売買されています。

しかしこうしたデータを、中国当局などが入手し、軍人を含む米国民を監視・脅迫するスパイ行為を行ったり、ゲノムデータを用いた遺伝子操作した病原菌をつくったりするなど、安全保障上の脅威になる形で使うことが懸念されていました。同時に、そうした利用を知りながら第三国に情報を販売する悪意あるブローカーの存在も、指摘されていました。

米政府高官は、このギャップを埋めるのが今回の措置の目的だと説明しています。

米国や日本などはデータの自由な国際流通を、経済活動を活性化させるものとして推進してきていましたが、安全保障を理由に規制強化に乗り出す米国の判断に、注目が集まっています。

《どう見るか》