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滋賀県甲賀市の消防本部が、過去に別のワクチンで副反応が出たことを理由に、新型コロナワクチンを接種しなかった職員を隔離させて業務を行わせた問題をめぐり、第三者委員会は「消防本部の対応は組織として問題があった」とし、「重大な人権侵害」を指摘しました。

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この問題は毎日新聞が5月に報じて露見しました。コロナワクチンは予防接種法上、あくまで「任意の接種」であり、強制ではありません。

しかし、消防本部は21年5月、副反応への不安で接種を辞退した30代の女性職員に対し、感染防止対策として他の職員との接触を制限。女性職員を廊下脇のスペースに隔離して業務を行わせ、更衣室の使用を制限したほか、職場での行動記録の提出などを求めました。その上で、「ワクチン接種拒否者への業務区別」とする消防長名の内部文書を全職員に回覧し、特定の人物を狙い撃ちするかのような対応を取り、職員はその後退職しました。

第三者委員会が今月26日にまとめた中間報告書によると、職員は上司から電話で「皆が(ワクチン接種を)受けているのに自分のことしか考えていない」と言われ、度重なる長時間の面談で接種するよう執ように求められたといいます。

委員会は、「職員は、業務区別等の措置が続き、終わりが見えない状況で、自身の精神的苦痛が増大していった」「職員の退職への判断に至る事情及び退職決意後の処遇等に関しては、違法、不当、または不適切な対応の疑いがある。関係する職員の処分等、および職員の権利救済の措置が検討される必要がある」などと指摘しました。

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