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若者の就職難が深刻化する中国で、政府はこのほど、卒業生の就職に大学が責任を負うことや、企業に対して雇用を増やすよう求める通知を出しました。

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中国では若者の就職難が深刻化しており、16歳から24歳の失業率について、政府は2023年6月の「21.3%」を最後に発表を取りやめています。同時期の若年失業率が、日本で4.2%、アメリカが7.5%であるのと比べてもかなりの高水準で、事態の深刻さが伺えます。

中国教育省が12月初旬に出した通知では、「新卒者の雇用については大学側が責任主体」であるとし、中小企業には「より多くの雇用を作り出すよう指示する」と要求しました。ただ、中国では、2024年度の大学や大学院の卒業生が過去最多の1179万人となる見込みであり、中国経済の悪化が深刻な中、就職がさらに困難となることが伺えます。

問題がさらに深刻なのは、就職した若者たちも、「働く意味が見いだせない」と仕事を辞めていることです。近年、中国の若者の中では、住宅を買わず、結婚も出産もしないで最低限の生活を維持し、自分のためだけに生きる「Lying Flat(寝そべり主義)」が広がってきましたが、2022年以降、社会での成功を完全にあきらめる「Letting it Rot(直訳:放置して腐らせる) 」が流行しています。

その動機は、「就職難」「経済問題」だけではないようです。19日付米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、激しい競争社会における企業勤務を辞めた中国の若者たちの様子を紹介しました。

若者からは、「ジャーナリストになりたかったが、政府がメディアをどれほど厳しく検閲しているかを知り、断念した」、「やみくもな長時間労働を続けることに意味を見いだせなくなった」、「中国政府の苛烈なコロナ対策の中で、共産党やその他の権威の役割、また人生の意味や、自分が何になりたいか、について考えた」といった声が上がっています。

彼らは競争社会からドロップアウトし、「仏教寺院にこもって修行する」「道教の修行に入る」「占い師になる」「ライフコーチングの講師になる」「老子からヘルマン・ヘッセまで、中国や西洋の思想家や作家の研究をする」といった生き方に転向しているといいます。

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