2024年1月号記事

ひらめきは「手書き」に降りる

アナログ最強説

"作業"が早いのはパソコンだが、"仕事"が早いのは紙とペンだ。

世界が目指したデジタル超先進国・スウェーデンが打ち出した新たな教育政策は、「紙への回帰」だった。

キャッシュレス化も完遂し、あらゆる行政手続きをネット上で行える同国は、河野太郎デジタル相も手本と仰ぐモデル国家だが、何と言っても"先進性"があったのは、教育分野だった。

2010年というかなり早い段階からすでに、一人一台のデジタル端末付与を始め、紙の教科書を廃止した。その波は幼児教育にまで及ぼうとした。しかしそこに、昨年就任した教育相のロッタ・エドホルム氏がストップをかけた。同氏はスウェーデンの児童の読解力が国際調査で低下しており、デジタル教育が原因だと主張。そして今年3月、「学生たちが勉強するには物理的な本が必要である」と、その方針転換を表明し、8月には、6歳未満の子供のデジタル学習を完全に廃止すると宣言した。行くところまで行ったデジタル教育のUターンは波紋を呼んだ。

 

 

次ページからのポイント

タイピングの思わぬ頭脳負荷

イマジネーションは手書きが有利

手は第二の頭脳

グルグル思考より一人ブレスト

紙の優れた集中効果