《ニュース》

奈良県が2024年度の実施を目指す高校授業料の無償化案で、私立高校を含めて生徒1人当たり年63万円まで、授業料を公費負担する新制度を導入すると各紙が報じました。910万円未満の世帯は無償化されますが、所得制限を撤廃しての完全無償化は見送られます。

《詳細》

今年8月に大阪府は、近隣府県の高校に通う生徒も含め、2026年度から所得制限なしで「完全無償化」とすると発表しました。標準授業料の年60万円を超える額は学校負担とする「キャップ制」に私学団体が反発していましたが、標準授業料を年63万円に増額することや助成の追加などを経て合意。大阪府は近隣の府県にも同様の政策を導入するよう、参加を呼びかけていました。

奈良県の山下真知事は、4月に「高校授業料の無償化」を公約に掲げ、日本維新の会から立候補。当選後、私立高校側と協議を行ってきましたが、63万円を超える額を学校負担とするキャップ制の導入や、所得制限の撤廃は、県中高私学連合会からの反対で見送ることとなりました。

今回の制度では、奈良県内の高校に通う生徒のみが対象となります。山下知事は、県外の高校に通う生徒への助成は今後の検討課題とし、「県の財政状況に加え、大阪など近隣府県の動向を見極め、足並みをそろえて実施した方がよい」と発言しています。

国と合わせて年63万円までの授業料を公費負担するために、県が必要とする予算は13億円と試算されており、24年度の予算案に盛り込まれるといいます。これまで奈良県は大型公共事業のために毎年26億円余りを基金に積み立てていましたが、新知事の就任後、県立工科大学の新設や道路建設、私鉄路線の移設・駅の高架化、大規模広域防災拠点の整備事業など、ほとんどを中止したため、基金の一部を無償化に充てるとしています。

《どう見るか》