2023年11月号記事

あなたの街の中国スパイ網

テレビドラマの影響で秘密諜報組織"別班"への関心も高まったが、今、真に注目すべきは「中国スパイ」だろう。全世界の秘密警察拠点の問題や、日本の防衛省で最高機密システムがハッキングされた疑惑、イギリス政府による中国スパイ活動への公式な警告など、その存在感を無視することはもはやできなくなっている。


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東京・秋葉原駅から徒歩約7分。神田川にも近い、下町風情残るビジネス街に、少しモダンな簡易ホテルがある。インターネットからも気軽に予約できる、一見、普通の宿泊所。

まさかここが、中国「秘密警察」の拠点だとは、誰も思わなかっただろう。この事実を昨年、指摘したのが、スペインの人権団体。その報告書によれば、拠点では、反政府的な発言や活動をした中国人を監視し、時に強制的に帰国させる業務が行われているという。

国内総勢3~5万人!? 大使館や中華街がハブに

こうした拠点は全世界に102カ所あり、時にホテル、時にラーメン屋、あるいはコンビニや法律事務所などに扮しているという。

もっともそれも、氷山の一角。秋葉原の拠点も、福建省福州市という一地方の公安施設に過ぎない。中国全体を見れば、国家安全部や公安部(政府系)、総参謀部の第二部、第三部、第四部(軍系)、統一戦線工作部(党系)など、数多くのスパイ機関がある。私たちの街の中に無数の拠点が、さまざまな役割を持って潜んでいると見るべきだろう。

「日本には中国系企業が、少なくとも300以上あります。そのうちどこが、中国当局のステーションになっているのか。それは日本の警察にも把握できていません」

こう語るのは、元共産党エリートでジャーナリストの鳴霞氏。

もちろん、スパイが潜むのは企業や商業施設だけではない。在日の留学生や一般企業社員、あるいは観光客にも紛れ込んで、日本には総勢3~5万人規模の中国スパイが活動しているとの推定もある。

その頂点に立つのが主に駐日中国大使館だ。そこから主要都市の領事館、そして主な中華街や、日中友好団体などをハブとして、巨大な連絡ネットワークが形成されているとも言われている。

実情を知る中国工作員は怖くて日本に亡命できない

とりわけ日本は、こうした活動が野放しとなっている「スパイ天国」であり、他国に比べても工作員の数が多いという指摘もある。そのため中国の工作員は、毎年数十~百人が亡命を決意しているというが、亡命先に日本を選ぶ者はほぼいない。内情を知るほど、日本は「身の危険」を感じるということだ(*)。

では、いったいどのような場所に、どのような形で、こうした工作員は潜んでいるのか。中国スパイに詳しい専門家に話を聞いた。

(*)袁翔鳴著『蠢く! 中国「対日特務工作」マル秘ファイル』(小学館)。
 

 

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元米空軍情報員 今泉 晶吉氏が語る 中国スパイが潜む場所

元中国共産党 鳴 霞氏が語る 中国スパイが潜む場所