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「いじめ防止対策推進法」が成立してから21日で10年になりますが、毎日新聞の調査によると、全国の公立小中学校のいじめ認知件数は自治体の間で最大30倍の差があることが判明しました。

《詳細》

全国の政令指定都市と県庁所在地などの公立小中学校が2021年度に認知したいじめについて、児童生徒1000人当たりの件数を毎日新聞が調査したところ、データを明らかにした33自治体の間で、最大約30倍の差があることが明らかになりました(20日付朝刊)。

認知件数最多は大津市の181件で、2番目は仙台市と水戸市の158件。いずれもいじめを理由とした自殺が大きな問題となっています。最も少なかったのは関東の自治体の6件で、別の関東の自治体が10件と続いています(自治体名は非公表)。また全国の小中学校の12%がいじめは0件と報告しました。

「いじめ防止対策推進法」は、大津市の中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した問題をきっかけに2011年6月に成立し、21日で成立から10年が経ちました。いじめの定義を明確化し、学校などの義務を定めましたが、守られなかった場合の罰則・処罰規定はありません。3年をめどに見直すと規定された同法ですが、成立以降、一度も改正されていません。

同法の改正に向けた超党派国会議員勉強会が2018年にまとめた「たたき台」には、「いじめを放置したり隠したりした教員の懲戒規定の新設」などが盛り込まれました。しかし学校現場からの「最大限努力しても気づかないことはある」「現場が委縮する」「業務が増える」の声で頓挫。2019年4月に出された「座長試案」では重要事項が大幅に削除され、以降法改正は進んでいません。

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