© THRONE / KARAVAN Pictures

 

2022年12月号記事

Movie

桜色の風が咲く

 

「僕は考えることができる。言葉がある」

【スタッフ】
監督:松本准平
【キャスト】
出演:小雪、田中偉登、吉沢悠、吉田美佳子、山崎竜太郎、札内幸太、井上肇、朝倉あき/リリー・フランキー
【配給等】
配給:ギャガ
【公開日】
2022年11月4日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開

 

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© THRONE / KARAVAN Pictures

 

【レビュー】

9歳で失明、18歳で聴力も失いながら、盲聾者として世界初の大学教授となった息子と、その母の実話物語。

教師の夫、3人の息子とともに関西の町に暮らす令子。末っ子の智は病気で3歳の時に右目を失明するが、人一倍やんちゃで口も達者な明るい少年に育った。しかし9歳を前に左目も光を失ってしまう。盲学校に進学した智は、令子の心配をよそに「僕には耳がある。だから大丈夫や」と、勉強に恋にと高校生活を謳歌するが、18歳で聴覚も喪失することになる。宇宙に放り出されたような孤独のなか、好きな落語や音楽も聴けない世界に苦悩する智。そんなある日、令子が見出した「指点字」で、智と世界はもう一度"繋がる"ことができたのだった。

「僕がこういう状態になったのは、こういう僕じゃないとできないことがあるからちゃうやろか」──。

2003年には米タイム誌の「アジアの英雄」に選ばれ、盲聾者として世界で初めて常勤の大学教員となり、現在は東京大学で教授を務める福島智さんとその母・令子さんが、数々の困難を乗り越えた半生を描く本作。自身の可能性を信じ、思索にふける智を深い愛情で包み込むように支え続ける令子。常にユーモアを忘れず、大らかに生きる二人が体現する「希望」は、私たちの人生にも一筋の光を投げかける。

 

ザ・リバティWeb シネマレビュー

「桜色の風が咲く」

(星4.5。満点は5つ)